川端康成学会 第188回例会 

日時 7月8日(土)13:30より
場所 鶴見大学 1号館5階501教室

研究発表
*伊藤輝(創価大学大学院博士後期課程)
「川端康成「乙女の港」における少女像」

*中山貴絵(東京大学大学院人文社会系研究科博士課程)
「川端康成「浅草紅団」論――現実の都市浅草と小説の仕掛け」

*服部訓和(日本大学商学部准教授)
「在米資料群から見る川端文学の世界化―伝統と翻訳」

司会   平井裕香
閉会の辞 片山倫太郎


*新型コロナウイルス感染症の位置付けが5類感染症に移行しましたが、オンラインでの参加形態はしばらくの間、維持したいと思います。オンラインで参加される方は、各自で参加できる環境を整えておいてください。URL、ID、パスワードは後日配信いたしますので、連絡可能なメールアドレスを事務局長・内田裕太(kawabatagakkai@gmail.com)までお知らせください。
*当日受付にて、参加費500円を頂きます。ご了承ください。
*当日受付にて、年会費の納入をお受けします。併せて、維持会費もよろしくお願いいたします。
*当日、11時より1号館5階507教室にて理事会を対面とオンラインにて開催いたします。常任理事の皆様はお集まりください。
*例会での研究発表希望者を随時募集しております。ご希望の方は事務局長・内田裕太(kawabatagakkai@gmail.com)までご一報いただけましたら幸いです。
*会員の皆様には「年報」36号(2021年)までのバックナンバーを送料込み1部500円で販売致します。最新号と前号は会員価格2,000円で販売致します。なお、在庫切れの号もありますので、詳細は事務局長・内田裕太(kawabatagakkai@gmail.com)まで、お問い合わせ下さい。

*例会についてのお問い合わせは下記にお願いいたします。
川端康成学会事務局
〒230-8501 横浜市鶴見区鶴見2-1-3 鶴見大学6号館 鶴見大学文学部片山倫太郎研究室
メール:kawabatagakkai@gmail.com


【発表要旨】

*伊藤輝「川端康成「乙女の港」における少女像」
 「乙女の港」は、一九三七年六月から翌年の一九三八年三月にかけて、雑誌『少女の友』に掲載された作品である。先行研究では、大森郁之助が「少女同性愛小説」、羽鳥徹哉が「感傷的愛情小説」、中嶋展子や雛韻が「博愛」という言葉で本作を評価している。
 たしかに、少女同士の深い友情や、他者を思いやる愛情が描かれていることに間違いはない。しかし、本作を分析する上で重要なのは、少女同士が慰め合う関係を構築することによって、自己のありようを模索していることだと考える。
 そこで本発表では、この慰め合うという関係性に注目し、その背後にある少女たちが直面している問題について、作品内容と当時の社会状況を比較しながら検討していく。その上で、洋子が模索する生き方の意義を問う。良妻賢母や職業婦人などといった明確な将来像を提示することを避け、三千子との永遠の友情の保持を決心する彼女が見つめているものとは何なのかを明らかにしながら、本作の価値を再検討してみたい。

*中山貴絵「川端康成「浅草紅団」論――現実の都市浅草と小説の仕掛け」
 川端康成「浅草紅団」は、『東京朝日新聞』に昭和四年十二月十二日から連載が開始された小説である。本作は昭和四年当時の同時代的な浅草が舞台であり、実際の地名や店名、俳優の名など固有名詞が多く登場する。このように事実とフィクションが織り交ぜられた本作は、ルポルタージュ的な性格を持っており、同時代評からは見物記として捉えられていたことがわかる。
 しかしあくまでも「浅草紅団」とは「小説」である。本発表では本作の小説としてのフィクショナリティの構造を解き明かすことを第一の目標とする。具体的には本作の小説の仕掛けについて、①語り手の語り方、②読者の位置、③舞台設定に注目して考える。その上でなぜ本作がノンフィクションではなくフィクションとして執筆・発表されたのかを明らかにする。また当時の文壇の中でこのような小説を発表することの意義についても考えたい。

*服部訓和「在米資料群から見る川端文学の世界化―伝統と翻訳」
 Alfred A. Knopf. Inc Records(テキサス大学オースティン校ハリーランサムセンター)やInternational Association for Cultural Freedom. Records(シカゴ大学図書館)の調査結果をもとに、川端作品の翻訳およびその世界化について報告する。前者はハロルド・シュトラウスが所属したクノップフ社の記録であり、川端の直筆書簡も含まれる。後者はサイデンステッカーが日本支部とのリエゾンを勤めた反共的文化団体、文化自由会議の記録である。これらの資料は、主に米国で指摘されてきたように、川端作品の翻訳、世界化という出来事に文化冷戦の力学が働いていたことを示してはいるが、ここではその実際を資料に基づき確認しつつ、その翻訳、世界化の問題を、川端におけるいわゆる伝統回帰の問題とともに検討したいと考えている。

【会場地図】
*1号館は、総持寺参道の左手です。参道正面より入っていただくとわかりやすいと思います。

PDF版はこちらからどうぞ
http://kawabatayasunari-academy.org/wp/wp-content/uploads/2023/06/川端康成学会 第188回例会案内.pdf

事務局