第47回大会のお知らせ

川端康成学会 第47回大会 
川端康成学会創立50周年記念大会

日時 7月4日(日)14:00より
場所 昭和女子大学 8号館西棟6階コスモスホール

特集:川端康成と現代文学

*研究発表・シンポジウム
「川端康成と瀬戸内寂聴―自由恋愛と創作―」
東京外国語大学博士後期課程 熊澤真沙歩

「主語・人称とはべつの仕方で―川端康成と川上未映子の文体はどこで接するのか―」
日本学術振興会特別研究員(PD) 平井裕香

「『片腕』の交響―乗代雄介『本物の読書家』をめぐって―」
 桐朋学園大学非常勤講師 内田裕太

シンポジウム司会 中村ともえ

*講演
 「実作者から見た川端康成」  作家 田中慎弥

*閉会の辞   川端康成学会会長 片山 倫太郎

総合司会 杵渕由香


*新型コロナウイルス感染症の影響により、例年通り会場校での開催に加え、オンラインでも開催いたします。オンラインで参加される方は、各自で参加できる環境を整えておいてください。URL、ID、パスワードは後日配信いたしますので、連絡可能なメールアドレスを事務局長・杵渕由香(kawabatagakkai@gmail.com)までお知らせください。
*当日受付にて、参加費500円を頂きます。ご了承ください。
*当日受付にて、年会費の納入をお受けします。併せて、維持会費もよろしくお願いいたします。
*当日、12時より理事会会場にて理事会を対面とオンラインにて開催いたします。常任理事の皆様はお集まりください。 
*例会での研究発表希望者を随時募集しております。ご希望の方は事務局長・杵渕由香(kawabatagakkai@gmail.com)までご一報いただけましたら幸いです。
*会員の皆様には「年報」33号(2018年)までのバックナンバーを送料込み1部500円で販売致します。最新号と前号は会員価格2,000円で販売致します。なお、在庫切れの号もありますので、詳細は事務局長・杵渕由香(kawabatagakkai@gmail.com)まで、お問い合わせ下さい。
*例会についてのお問い合わせは下記にお願いいたします。
川端康成学会事務局
〒230-8501 横浜市鶴見区鶴見2-1-3 鶴見大学6号館 鶴見大学文学部片山倫太郎研究室
       メール:kawabatagakkai@gmail.com


【発表要旨】
*熊澤真沙歩(東京外国語大学博士後期課程)「川端康成と瀬戸内寂聴―自由恋愛と創作―」
瀬戸内寂聴(1922―、作家・僧侶)は、女学生の頃に熱中して読んだ川端康成『乙女の港』(1937-1938)を文学的出発点に挙げる。そして、『乙女の港』に倣った幾つかの少女小説を書いて作家として生計を立てた。その後、川端の文芸時評にもあるように「夏の終わり」(1962)や「かの子繚乱」(1962)で文壇から認められる。「美は乱調にあり」(1966)では、『青鞜』最後の編集者伊藤野枝を中心に大正期の女性 解放運動と自由恋愛を主題にした伝記的小説を書いた。1972年に第六次『新思潮』や『文芸時代』で川端と同人であった今東光を導師として瀬戸内は出家し、現在も文筆活動を続けている。本発表では、瀬戸内と川端の関わりや、両者を結ぶ今東光や岡本かの子など周辺人物について整理する。また、瀬戸内の小説における女性解放や自由恋愛の主題を、現在のフェミニズム潮流と併せて考察したい。

*平井裕香(日本学術振興会特別研究員(PD))
「主語・人称とはべつの仕方で ―川端康成と川上未映子の文体はどこで接するのか―」
 川上未映子の「わたくし率イン歯ー、または世界」(二〇〇七)において、語り手は「わたし/私」という一人称にこだわりつつ、それが消えた、主語のない「雪国」の冒頭に繰り返し触れる。確かに語り手自身の言葉は、図書館に多くあるという文学の正統な言葉と異なり、彼女が感じる痛みや孤独ではち切れんばかりに奇形化している。しかし、その語り手が形而上の自己とみなした奥歯を麻酔なしで抜く前と後の文章は、述語が省かれうるという特徴を密かに共有しており、その点では「雪国」と語り手の言葉も似通っている。川端と川上をはじめとする一部の現代作家はともに、そうした省略などにより、語りが確かな基点や
回路を備えて安定することを拒んでいるように思われる。


*内田裕太(桐朋学園大学非常勤講師)「『片腕』の交響―乗代雄介『本物の読書家』をめぐって―」
 乗代雄介『本物の読書家』(「群像」平28・9)は、<わたし>(間氷)が、自身の大叔父(岡崎)を茨城県高萩にある老人ホームへ送り届ける道中で、奇妙な男(田上)との邂逅を経て、大叔父が川端康成『片腕』を「代作」していたことを徐々に知ることになる、という筋立てである。本発表では主として『本物の読書家』を俎上に、作中における「川端康成」および『片腕』の表象に着眼し、川端文学を(表層的には)批判的に摂取する当該作の野心的な試みについて検討する。その上で、『片腕』が内包する<孤独>というモチーフに改めて目を向けることで、両作品が響き合う地平を探るとともに、川端文学の「現代」性についても、その一端を明らかにできればと考えている。

【講演者】
*田中慎弥(作家)「実作者から見た川端康成」
[受賞歴]第37回新潮新人賞(2005年)「冷たい水の羊」
     第34回川端康成文学賞(2008年)「蛹」
     第21回三島由紀夫賞(2007年度)『切れた鎖』
     山口県芸術文化振興奨励賞[創作部門](2009年度)
     第146回芥川賞(2011年下期)「共喰い」
     第47回泉鏡花文学賞(2019年)『ひよこ太陽』
【会 場】昭和女子大学8号館西棟6階コスモスホール(〒154―8533 世田谷区太子堂 1-7-57)
【アクセス】 *地下鉄:東急田園都市線(半蔵門線直通)「三軒茶屋」駅下車徒歩 7 分
*バス:●渋谷駅から下記方面行きを利用し、「昭和女子大」下車(上町・等々力・田園調布・弦巻営業所・二子玉川・高津営業所・成城学園・祖師谷大蔵・狛江・調布)

●目黒駅・祐天寺駅から三軒茶屋行きを利用し、「三軒茶屋」下車

●下北沢駅から駒沢陸橋行きを利用し、「三軒茶屋」下車

下記URLからPDF版の大会案内をご覧いただけます。

http://kawabatayasunari-academy.org/wp/wp-content/uploads/2021/06/川端康成学会-第47回大会-2.pdf

事務局