第180回例会のご案内

川端康成学会会員のみなさま

コロナ禍により何かと不便な状況が続いているかと存じますが、みなさまにおかれましてはお変わりなくお過ごしでしょうか。
さて、今年度の例会はこれまで中止の措置をとってまいりましたが、12月26日(土)に川端康成学会第180回例会を開催いたします。
コロナウイルス感染症の影響を受けて、通常の対面形式に加え、オンライン形式でも開催いたします。オンラインでの参加を希望の方はご連絡ください。折り返しご連絡いたします。連絡先、事務局長・杵渕由香(kawabatagakkaiアットgmail.com)アットを@に書き換えてお送りください。
ご多用の折とは存じますが、ご参加をお待ちしております。


2020年11月26日川端康成学会 第 180 回例会

日時 12 月 26 日(土)14:00 より

場所 静岡大学人文社会科学部B棟 301 教室

*研究発表

「『古事記』と聖書とのあいだに―川端康成『たまゆら』論―」

総合研究大学院大学国際日本研究専攻博士後期課程 葉 暁瑶

「「作家との旅 三」からたどる昭和初期の水上と川端周辺の様相」

佐久大学非常勤講師 金子 光代

*閉会の辞 川端康成学会会長 片山 倫太郎


*当日受付にて、参加費 500 円を頂きます。ご了承ください。

*当日受付にて、年会費の納入をお受けします。併せて、維持会費もよろしくお願いいたします。

*例会での研究発表希望者を随時募集しております。ご希望の方は事務局長・杵渕由香(kawabatagakkaiアットgmail.com)までご一報いただけましたら幸いです。

*会員の皆様には「年報」33 号(2018 年)までのバックナンバーを送料込み 1 部 500 円で販売致します。最新号と前号は会員価格 2,000 円で販売致します。なお、在庫切れの号もありますので、詳細は事務局長・杵渕由香(kawabatagakkaiアットgmail.com)まで、お問い合わせ下さい。

*例会についてのお問い合わせは下記にお願いいたします。

川端康成学会事務局

〒230-8501 横浜市鶴見区鶴見 2-1-3 鶴見大学文学部片山倫太郎研究室

メール:kawabatagakkaiアットgmail.com


【発表要旨】

*葉暁瑶(総合研究大学院大学国際日本研究専攻博士後期課程)

「『古事記』と聖書とのあいだに―川端康成『たまゆら』論―」

本報告で主に取り扱う『たまゆら』は、一九六五年一月から一九六六年三月まで『小説新潮』に連載されていた川端康成の長編小説である。『たまゆら』の執筆にあたっては、川端が「日本の美しさの何かを描きたい」と語っている。そこで、小説の舞台が神話の発祥地である宮崎、そして古都である鎌倉と京都に設定された。加えて『古事記』を度々引用し日本の創世神話を語ることは「日本の美しさ」を表現することにつながるとすれば、同じく作中に頻りに登場させていた聖書が何を意味するかは興味深い。

したがって、本報告では『たまゆら』における『古事記』と聖書との関わりに対する考察を通して、川端の言う「日本の美しさ」を立体的に解明することを目的とする。

*金子光代(佐久大学非常勤講師)

「「作家との旅 三」からたどる昭和初期の水上と川端周辺の様相」

磯沼秀夫と水上温泉、谷川温泉、湯檜曽温泉を回ったことを伝える川端の秀子宛の手紙は、小谷野敦・深澤晴美『川端康成詳細年譜』(2016・8)により昭和九年五月一三日付と修正された。川端がその湯檜曽で書き始め、上牧温泉への移動中や帰京後のことも綴った随筆「作家との旅 三」から、昭和初期の水上と川端周辺の様相を明らかにし、旅の意味を考察する。

谷川岳の記述には翌月から執筆する「水上心中」の材料がうかがえ、谷川温泉の川端の印象は後の太宰治の療養に繋がる。川端が古賀春江の水彩風景画を思いながら湯檜曽を巡り歩いたのは、芸術家の「死の予感」の中での「写生」を現地で確かめたいという動機によるとも思われる。直木三十五と池谷信三郎との法師温泉長寿館宿泊の思い出や積雪の夜に法師へ向かう直木の話からは、作家における「現実と作品」の関係が見えてくるのではないか。川端は帰京後も作家仲間に水上について聞き、奥利根に再び行く旨の手紙も書いていた。

川端にとってこの旅は、自然に関心を向け、また新たな材料や仕事場を見つけることになり、作品における「写実」について問い直すものになっていたのではないだろうか。

【会場】静岡大学人文社会科学部B棟 301 教室(〒422-8529 静岡市駿河区大谷 836)

【アクセス】JR静岡駅北口からバスに乗車。しずてつジャストラインバス8B番乗り場から美和大谷線「静岡大学」行き、「足久保団地」行き「東大谷」(静岡大学経由)行き、「ふじのくに地球環境史ミュージアム」(静岡大学経由)行きに乗車し、「静岡大学」で下車。美和大谷線「東大谷」(静岡大学を経由しないもの)行きに乗車した場合は、「片山」で下車。(所要時間 25 分、1 時間に5~7本運行)

バス停から人文社会学部棟まで徒歩約10分

PDF版の例会案内を添付いたしますので、ご利用ください。

川端康成学会第180回例会案内

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