臨時総会 川端康成学会 第173 回例会

川端康成学会 第173 回例会

日時 12 月16 日(土)14:00
場所 鶴見大学 1 号館401 教室

*臨時総会
*研究発表
「映画化された『伊豆の踊子』」
茨木市立川端康成文学館学芸員 今 井 瞳 良
「縮
ちぢみ
の美学が織りなす川端文学――身体=皮膚と布=襞の饗宴――」
聖徳大学 文学部 李 哲 権
*閉会の辞 川端康成学会会長 林 武志
司会 田 村 嘉 勝
*当日、14 時より臨時総会を開催いたします。終了後、研究発表に移ります。
*当日受付にて、参加費500 円を頂きます。ご了承ください。
*当日受付にて、年会費の納入をお受けします。併せて、維持会費もよろしくお願いいたします。
*例会終了後、懇親会を予定しております。奮ってご参加ください。
*当日、12 時より1 号館406 教室にて理事会を開催いたします。常任理事の皆様はお集まりください。
*今後の例大会の開催予定日をお知らせいたします。第174 回例会は4 月を予定しております。
上記の日程は変更になる場合もございますので、ご了承ください。
なお、例会での研究発表希望者を随時募集しております。ご希望の方は事務局長・佐藤翔哉
(shoyasato.kawa@gmail.com)までご一報いただけましたら幸いです。
*会員の皆様には「年報」30 号(2015 年)までのバックナンバーを送料込み1 部500 円で販売致しま
す。最新号と前号は会員価格2,000 円で販売致します。なお、在庫切れの号もありますので、詳細は
事務局長・佐藤翔哉(shoyasato.kawa@gmail.com)まで、お問い合わせ下さい。
*例会についてのお問い合わせは下記にお願いいたします。
〒422-8529 静岡市駿河区大谷836 静岡大学人文社会科学部言語文化学科 田村充正研究室
メール: shoyasato.kawa@gmail.com


【発表要旨】
*今井瞳良(茨木市立川端康成文学館学芸員)
「映画化された『伊豆の踊子』」
本発表は『伊豆の踊子』最初の映画化『恋の花咲く 伊豆の踊子』(五所平之助監督、1933 年)を扱う。十重田裕
一が指摘するように、『伊豆の踊子』は発表時にはあまり話題にならならず、1950 年代以降に「名作」になって
いった作品である。そのため、『恋の花咲く 伊豆の踊子』は、川端康成の『伊豆の踊子』だから映画化されたわ
けではないと推測される。実際に最初の映画化は、「内容があまりに淡彩で、ドラマ的要素がない」と企画と通す
のが困難だったという。そこで、「名作」となる以前の『伊豆の踊子』がどのように発見され、映画化されたのか
明らかにする。
*李哲権(聖徳大学 文学部)
「縮の美学が織りなす川端文学――身体=皮膚と布=襞の饗宴――」
『雪国』は川端文学が有する無限の射程を縮みの論理で折り畳んだテクストである。ゆえに、それは表層の深
さを隠しもったテクストである。
縮みは雪国の若い娘たちの手が織り、腕が績んだ布=皮膚である。それを男の身体=皮膚の重なり合いででき
た皮膚が、直に肌につけるようにして着込む。そうした男たちの身振り=仕種には、着衣と脱衣、結合と離脱、
接合と離接、装着と切断、結婚と離婚、出産と堕胎、といったあらゆる人間的な行為の隠喩の次元が内包されて
いる。
女と男、アニマとアニムス、川端文学が醸し出すエロティシズムは、結局はこのような皮膚と皮膚、襞と襞の
接触によって可能になる近さがたぐり寄せる靄であり、艶であり、エーテルである。それは「着衣の思想」に燻
製されたエロティシズムである。
本発表では、こうしたエロティシズムの靄を生産する川端的エクリチュールの秘密を「開け」という雪の上に
晒すために、ドゥル―ズの「襞の哲学」、エリアーデの「植物種からの人間発生神話」に触れると同時に、川端が
慣れ親しんだロマン主義や表現主義の画家たちの植物と動物と人間の間に形成される生命力=動物力にまつわる
隠喩やアナロジーにも触れることになると推測される。

 第173回例会案内

事務局