第172回例会のお知らせ

川端康成学会 第172 回例会

日時 8 月19 日(土)14:00 より
場所 鎌倉生涯学習センター 4 階第6 集会室

研究発表
*「『みづうみ』――「桃色」と「水色」の無限彷徨――」
明治大学大学院文学研究科文芸メディア専攻 修士課程 熊澤 真沙歩
*「川端康成戦後作品における身体表象の考察」
千葉大学大学院 博士後期課程 カヴィタ・シャルマ
*閉会の辞 川端康成学会会長 林 武志

司会 内田 裕太


*当日受付にて、参加費500 円を頂きます。ご了承ください。
*当日受付にて、年会費の納入をお受けします。併せて、維持会費もよろしくお願いいたします。
*例会終了後、懇親会を予定しております。奮ってご参加ください。
*当日、10 時30 分より2 階第2 集会室にて理事会を開催いたします。常任理事の皆様はお集まりくだ
さい。年報について、マイクロコンテンツ社より説明いただきますので、時間厳守でお願い致します。
*今後の例大会の開催予定日をお知らせいたします。第173 回例会は12 月16 日(土)を予定しており
ます。
上記の日程は変更になる場合もございますので、ご了承ください。
なお、例会での研究発表希望者を随時募集しております。ご希望の方は事務局長・佐藤翔哉
(shoyasato.kawa@gmail.com)までご一報いただけましたら幸いです。
*会員の皆様には「年報」30 号(2015 年)までのバックナンバーを送料込み1 部500 円で販売致しま
す。最新号と前号は会員価格2,000 円で販売致します。なお、在庫切れの号もありますので、詳細は
事務局長・佐藤翔哉(shoyasato.kawa@gmail.com)まで、お問い合わせ下さい。
*例会についてのお問い合わせは下記にお願いいたします。
〒248-0005 神奈川県鎌倉市雪ノ下3 丁目8-33 銀の鈴社内
電話:0467-61-1930 FAX:0467-61-1931


【発表要旨】
*熊澤真沙歩(明治大学大学院文学研究科文芸メディア専攻 修士課程)
「『みづうみ』――「桃色」と「水色」の無限彷徨――」
『みづうみ』(『新潮』昭29.1-12 号)は客観的な語りを無効化し、想念や感覚といった「銀平」の内面から描写され
る。また、時系列が入り乱れ、幻覚や幻聴も混ざる難解な文体である。その不安定な文体こそ、「銀平」の特徴ではない
か。『みづうみ』の構造を探るには、文体の分析による「銀平」の解体が不可欠である。
「銀平」は、「薄桃色の世界と薄水色の世界とを初めて見わけたのは、久子に会いにゆくみちであつた」と、「桃色」
と「水色」の二色で世界を分けて捉える。「銀平」は、色彩を感覚的に映し出す「鏡」の機能を持ち、二色の世界の間で
無限の彷徨をする存在なのではないか。「桃色」と「水色」の表象に着目し、難解な「銀平」の読解を試みたい。
*カヴィタ・シャルマ(千葉大学大学院 博士後期課程)
「川端康成戦後作品における身体表象の考察」
本発表では、川端康成の戦後作品のなかで『片腕』と『眠れる美女』に注目したい。この二つの作品にて描写されて
いる異常な身体表象の解釈を究明することがモチーフである。通常ではない身体を持つ他者と交流する自己に焦点を当
てながら、自己と他者との関係を考えたい。完全ではない身体は、自己と他者の関係にどのような影響をおよぼすのか、
その身体描写の意味合いを取り上げたい。
そのために、メルロ・ポンティの身体の現象学を参照しながら、心身合一論の面からこれらの作品を考えていきたい。
メルロ・ポンティの中心テーマは「身体」であり、身体を従来客観的なものとしてみるという考えを根本的に訂正する
ことを、彼は主張した。ポンティは、近代的な心身二元論に反対した。身体とは、物へも心へも還元できない、いわば、
両者の「相互浸透」的原理であるということを主張した。身体は主体であり、客体でもある。そして、主―客体として
の身体は主観性から切り離されていない。本発表では、こうした心身合一理論のもとに、自己と他者の関係を考えたい。
本発表では、『片腕』における切断された身体の問題であっても、『眠れる美女』のなかで眠らせている女性の身体の
問題であっても、通常ではない他者との関係のなかで、主人公の自己確認がいかにできているのか、できていないのか、
に注目する。他者を通じて形成する自己アイデンティティの問題について論じたいと考えている。
【会 場】鎌倉生涯学習センター(〒248-0006 鎌倉市小町1-10-5)

 

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