日時 2025年 4月19日(土)14:00より
場所 鶴見大学 5号館5-101・102教室
*研究発表
「「雪国」発表直前期における川端康成の批評に対する意識と、短篇「扉」ならびに「雪国」における居室空間の密閉性について」
松井啓一郎(青山学院大学大学院文学研究科博士前期課程1年)
「「川端康成主幹 人間」-川端・木村徳三・株式会社鎌倉文庫「人間」-」
田村嘉勝(尚絅学院大学名誉教授)
閉会の辞 片山倫太郎
*令和7年度総会 事業報告・会計決算報告・事業計画案・会計予算案
*新型コロナウイルス感染症の位置付けが5類感染症に移行しましたが、オンラインでの参加形態はしばらくの間、維持したいと思います。オンラインで参加される方は、各自で参加できる環境を整えておいてください。URL、ID、パスワードは後日配信いたしますので、連絡可能なメールアドレスを事務局長・青木言葉(kawabatagakkai@gmail.com)までお知らせください。
*当日受付にて、参加費500円を頂きます。ご了承ください。
*当日受付にて、年会費の納入をお受けします。併せて、維持会費もよろしくお願いいたします。
*当日、12時半より5号館2階5-202教室にて理事会・理事会総会を対面とオンラインにて開催いたします。常任理事の皆様はお集まりください。
*例会での研究発表希望者を随時募集しております。ご希望の方は事務局長・青木言葉(kawabatagakkai@gmail.com)までご一報いただけましたら幸いです。
*会員の皆様には「年報」38号(2023年)までのバックナンバーを送料込み1部500円で販売致します。最新号と前号は会員価格2,000円で販売致します。なお、在庫切れの号もありますので、詳細は事務局長・青木言葉(kawabatagakkai@gmail.com)まで、お問い合わせ下さい。
*例会についてのお問い合わせは下記にお願いいたします。
川端康成学会事務局
〒230-8501 横浜市鶴見区鶴見2-1-3 鶴見大学6号館 鶴見大学文学部片山倫太郎研究室
メール:kawabatagakkai@gmail.com
【発表要旨】
*松井啓一郎「「雪国」発表直前期における川端康成の批評に対する意識と、短篇「扉」ならびに「雪国」における居室空間の密閉性について」
本年3月に青山学院大学文学部日本文学科の紀要『青山語文』にて掲載予定の拙稿「川端康成「扉」論——「雪国」へひらく扉——」の内容を踏まえ、短篇「扉」ならびにその直後に発表された「雪国」における居室空間の描写について考察を加えたい。
拙稿では、作家でもあり批評家でもある川端康成が、「雪国」発表期において、文藝時評を中心として、作家として批評家に誤読されてしまう苦しみと、批評家として他の作家の作品を誤読してしまう苦しみを抱えており、その苦しみからの逃避を望んでいた可能性を示した。そして、このような批評の苦しみが、短篇「扉」(『改造』昭和9年10月号)に反映されていることを指摘し、批評の苦しみという主題が「雪国」に引き継がれている可能性を述べた。
これらを踏まえ、「扉」における「新開地の高台のはづれで、どこからも窓を覗かれる心配はない」なみ子の部屋や、植松の「誰にも見えない部屋でこの手紙と生きてゐる。」という言葉から、居室空間の密閉性と批評の苦しみとの関連を検証する。また、「雪国」における「声が八方に洩れそう」な駒子の部屋などの空間の非密閉性と比較し、空間の密閉/非密閉がこれらの作品に果たす役割について検討する。
*田村嘉勝「「川端康成主幹 人間」-川端・木村徳三・株式会社鎌倉文庫「人間」-」
題目の「川端康成主幹 人間」は、鎌倉文庫発行の「人間」にも記載されていない。しかし、新聞広告「新年創刊号」には、題目の文言が記されている。創刊が昭和21年1月なので、広告は前年の12月、「朝日新聞」、「読売新聞」(2度)に掲載された。しかし、「人間」創刊号のみならず、廃刊になるまで、この文言は「人間」に記されることはなかった。
昨年11月、ある学会で「川端康成が関わった鎌倉文庫と雑誌「人間」」と題して発表し、今回の発表は、昨年発表に繋がる内容で、川端に招聘された編集主任木村徳三と川端との関わりについて考えてみたい。「人間」担当を任された川端が、迷いもなく、養徳社(天理市)勤務の木村に打電し、受電した木村が即刻、上京し、鎌倉に住む川端に会いに赴いたのか。そして、川端は木村に「人間」編集の全てを託したのか。川端と木村の両側から二人の接点を考える必要がある。二人の結束を、敗戦前後という時期を垣間見ながら文学的思考・思想などの面から論じてみたい。
【会場地図】
