川端康成学会 第 179 回例会
日時 12 月 7 日(土)14:00 より 場所 鶴見大学記念館2F 第1講堂
*研究発表
「川端康成「或る詩風と画風」――〈詩 的 精 神 エスプリ・ヌーヴォ―
〉との共振性――」 東京外国語大学 国際日本専攻 博士後期課程 熊澤 真沙歩
「 『古都』――背景化された人物・物語再考――」 二松學舍大学附属高等学校 佐藤 翔哉
*閉会の辞 川端康成学会会長 片山 倫太郎
司会 内田 裕太
*当日受付にて、参加費500 円を頂きます。ご了承ください。
*当日受付にて、年会費の納入をお受けします。併せて、維持会費もよろしくお願いいたします。 *例会終了後、懇親会を予定しております。奮ってご参加ください。
*当日、12 時より鶴見大学記念館2Fセミナー室2-2(例会会場と同じフロア)にて理事会を開催い たします。常任理事の皆様はお集まりください。
*今後の例会の開催予定をお知らせいたします。第180 回例会は2020年4月を予定しています。上記 の日程は変更になる場合もございますので、ご了承ください。 なお、例会での研究発表希望者を随時募集しております。ご希望の方は事務局長・堀内京 (kawabata.y.ac.1970@gmail.com)までご一報いただけましたら幸いです。
*会員の皆様には「年報」32 号(2017年)までのバックナンバーを送料込み1部500円で販売致しま す。最新号と前号は会員価格2,000円で販売致します。なお、在庫切れの号もありますので、詳細は 事務局長・堀内京(kawabata.y.ac.1970@gmail.com)まで、お問い合わせ下さい。
*例会についてのお問い合わせは下記にお願いいたします。 〒422-8529 静岡市駿河区大谷836 静岡大学人文社会科学部言語文化学科 田村充正研究室 電話:090-6180-3670 メール: kawabata.y.ac.1970@gmail.com
【発表要旨】
*熊澤 真沙歩(東京外国語大学 国際日本専攻 博士後期課程) 「川端康成「或る詩風と画風」――〈詩的精神 エスプリ・ヌーヴォ― 〉との共振性――」 川端康成の昭和初年代には、「浅草紅団」(昭4・12)、「抒情歌」(昭7・2)、「禽獣」(昭8・7)などの代表作が次々と発表され た。そのなかで「或る詩風と画風」(昭4・10) は論じられることの少ない作品だが、表現主義・ダダイズム等の西欧アヴァン ギャルド芸術運動に影響された新感覚派時代の川端の文学理念が小説の形式で表れているのみならず、同時に昭和初年代に日 本に移入された新心理主義・シュルレアリスムへの接近と質的変化も見受けられ、昭和文学形成への過渡期に位置する作品と して見逃せない意義を持つのではないか。本発表では、昭和初年代の文学・文壇状況といった新しい観点を導入した作品読解 を試みる。そして、「或る詩風と画風」が散文/詩/絵画といったジャンル性を超越する同時代の〈新詩精神(エスプリ・ヌー ヴォ―)〉の機運が色濃く反映されており、昭和文学の形成期を象徴する作品であることを示したい。 具体的には、大正末期から昭和初期にかけて相次いで刊行された前衛芸術雑誌の動向を整理することで同時代性を捉える。 特に〈新詩精神(エスプリ・ヌーヴォ―)〉を主導した『詩と詩論』(昭3・9~昭 8・6)における西脇順三郎・春山行夫・北川 冬彦らの文芸理論や、横光利一・川端康成・堀辰雄らの同人誌『文學』(昭4・10~5・3)の活動に重点を置きながら、「或る 詩風と画風」で模索された実験性および目指されていた文芸的な方向性を、同時代の文壇状況と併せて検証していく。
*佐藤 翔哉(二松學舍大学附属高等学校) 「 『古都』――背景化された人物・物語再考――」 『古都』は、作者自身が〈私の異常な所産〉〈人物や物語よりも風物が主になるかもしれません。〉と述べていることもあり、 その創作過程や京都という舞台に着目されることが多い。例えば、新潮文庫の「解説」では山本健吉が〈この美しい一卵性双 生児の姉妹の交わりがたい運命を描くのに、京都の風土が必要だったのか。あるいは逆に、京都の風土、風物の引立て役とし てこの二人の姉妹はあるのか。私の考えは、どちらかというと、後者の方に傾いている。〉と述べ、川端の言説をそのまま継 承している。新潮文庫では現在でもこの「解説」が使用されており、読者を川端の言説へとリードし読みの幅を限定している と言える。本発表では川端の言説の流れからいったん距離を置き、〈風物〉(=京都)を主にすることなく、人物や語りを出発 点としてテクスト内の構造を相対的に捉えなおし、「古都」の読みを再構築することを目的とする。
【会 場】鶴見大学記念館2F 第1 講堂(〒230-8501 横浜市鶴見区鶴見2-1-3) 【アクセス】JR京浜東北線 鶴見駅西口下車徒歩5分、京浜急行 京急鶴見駅下車徒歩7分 *記念館は、1号館向かいの新しい建物です。
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